「ヘナだから安心」に潜む落とし穴。国民生活センターの注意喚起と、製造元として伝えたいこと

「ヘナだから安心」に潜む落とし穴。国民生活センターの注意喚起と、製造元として伝えたいこと

「肌が弱くて一般的な白髪染めが使えないから、天然のヘナを選んだ」

「頭皮を傷めたくないから、植物100%と書かれたものを信じて買った」

そうした切実な思いでヘナを手に取った方が、使用後に激しいかゆみやかぶれ、顔全体の腫れといった重篤なアレルギー症状に見舞われる――

このような事例を受け、国民生活センターや自治体の消費生活センターから「ヘナ配合を謳う毛染め製品への化学染料(酸化染料)混入」に関する注意喚起が繰り返し出されています。

天然素材を求めて選んだはずの場所で、最も避けたかった化学物質による被害に遭ってしまう。この現実に、長年ヘナの現場に身を置き、自ら製造・製品化を手がける者として、強い憤りと深い危機感を抱かずにはいられません。

なぜ「ヘナ」に化学物質が混ざるのか

問題の本質は、「植物染料の限界」を「化学の力」で安易に埋めようとする市場の構造にあります。

本来、純粋なヘナ(ヘンナ葉100%)は、植物に含まれる色素「ローソン」が髪のタンパク質に絡みつくことで、穏やかにオレンジ色〜赤褐色へと発色します。黒髪を明るくすることはできず、白髪を1回で真っ黒に染め上げることもできません。時間をかけて髪と頭皮を労わりながら馴染ませていくのが、天然植物ならではの特性です。

しかし、市場では時として「1回で短時間にしっかり濃い茶色や黒に染まること」が求められます。

その需要に応えるため、一部の製品では「ヘナ配合」「ナチュラル」と大きく謳いながら、裏でジアミン系化合物などの酸化染料や合成染料を混ぜ合わせる手法が取られてきました。中には「微量なら問題ないだろう」と意図的に混入されたものや、海外の製造・原料段階での管理がずさんで混入に気づかないまま流通してしまうケースも存在します。

製造元としての立場と意見表明

ヘナを取り扱い始めて25年、数多くの原料と現場を見てきました。その中で確信しているのは、「染毛の即効性や利便性のために、安全性の土台を曖昧にしてはならない」ということです。

化学染料(ジアミン等)自体は、一般的なヘアカラーにおいて広く使われている認可成分であり、それ自体を全否定するわけではありません。

しかし、「植物だから安心」「ノンケミカル」と信じて購入する消費者の信頼を裏切り、成分を偽ったり誤認を招くような見せ方で販売することは、ものづくりに携わる者として決してあってはならない行為です。

ヘナを製造・提供する側の責任は、単に商品を売ることではなく、「その植物が持つありのままの性質(できること・できないこと)を正直に伝え、100%混じり気のない安全な状態でお届けすること」に尽きると考えています。

後を絶たないトラブルから身を守るために

もしこれからヘナを取り入れようと考えている方、あるいはすでに使われている方は、ぜひ以下の点をご自身の目で確認してください。

・全成分表示を必ず確認する パッケージの表面にあるキャッチコピーだけでなく、裏面の「全成分表示」を見てください。純粋なヘナであれば、成分名は「ヘンナ」(あるいはヘンナ葉、インディゴ等の植物名のみ)と極めてシンプルに記載されています。聞き慣れない化学名や「〇〇染料」と書かれているものは純粋な植物粉末ではありません。

・「短時間で黒く染まる」という言葉を疑ってみる 植物100%のヘナ単体で、15分や20分で白髪が真っ黒に染まることは植物の構造上あり得ません。即効性を強く謳う製品には、何らかの化学的補助が働いている可能性を考慮する必要があります。

・天然100%であってもパッチテストを行う 植物アレルギー(漆や蕎麦と同様)の可能性はゼロではありません。初めて使う際は、必ず事前に腕の内側などでパッチテストを行ってください。

髪や頭皮を健やかに保ちたいという純粋な願いが、不透明な製品によって損なわれることがないよう。

これからも、製造元としての透明性と倫理を守り、嘘のない情報発信と製品づくりを続けてまいります。

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