白髪を染めるためだったのに

白髪を染めるためだったのに

「ヘナって、本当に染まるんですか?」

お店にいると、ときどき聞かれます。

ヘナをはじめる理由は、だいたい同じです。


白髪が気になってきたから。

できれば、髪に負担の少ないもので染めたいから。

だから最初は、白髪が染まればそれでいい。

そんな感じなのだと思います。

でも、長くヘナを使っているお客様と話していると、少しおもしろいことがあります。

白髪を染めるためにはじめたはずなのに、いつの間にか、続ける理由が変わっているのです。


先日、あるお客様が、こんな話をしてくれました。


ある日、偶然ヘナをして、そのあと美容室へ行った日のこと。

美容師さんから、

「髪、きれいですね」

「ツヤがありますね」

と褒められたそうです。


それが、とてもうれしかった。

ただ、それだけのことです。


でも、それから美容室へ行く日が近づくと、

なんとなくその前にヘナをしたくなってしまうのだとか。

「また褒めてもらえたら、うれしいじゃないですか」

そう言って笑っていました。


なんだか、いいなと思いました。

最初は白髪を隠したかっただけなのに。


いつの間にか、

「髪をきれいにしていたい」

という気持ちに変わっている。


お店にいると、似たような話を聞くことがあります。

「前より髪にハリがある気がする」

「ツヤが出たと言われた」

「髪がまとまりやすくなった気がする」


もちろん、髪の感じ方は人それぞれです。

誰にでも同じ変化があるとは言えません。

それでも、10年、20年とヘナを続けている方がいる。

その理由を聞いていると、白髪が染まるからだけではないのだと思います。


髪の調子がいい。

鏡を見たとき、ちょっとうれしい。

人から髪を褒められると、やっぱりうれしい。


そんな小さなことが積み重なって、気がつけば長く続いている。


白髪を染めるためにはじめたのに、

いつの間にか、髪をきれいに保つために続けている。


そして美容室へ行く前に、

「今日も少しヘナをしておこうかな」

と思う。


また髪を褒めてもらえるかもしれないから。 

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